理事長ごあいさつ

理事長写真 井上科学振興財団は故井上節子氏の醵金をもとに1984年5月30日に設立されたものであります。国の財団法人制度の改正により、2012年4月1日に公益財団法人井上科学振興財団に改組いたしました。
創立者の井上夫人は若い頃から健康に恵まれず、病院の入退院を繰り返し闘病生活を送っておられました。何度も迎えた生命の危機をそのたびに医学・医療の進歩に助けられたご経験から、井上夫人は医学のみならず社会の発展を支えてきた科学の進歩に感謝の気持ちを抱いておられました。このことから、夫人は、御病床から浄財を基金として財団を設立し、ご自身も社会全体も恩恵を受けてきた科学の進展に役立てることを志されました。井上夫人を助け当財団を創立し、初代の理事長を勤められた茅 誠司先生は、科学・技術の発展を支えることの重要性を考え、なかでも恵まれない立場にある、基礎科学の若手研究者を支援することを中心に財団の活動を計画されました。残念なことに井上夫人は財団の第一回の表彰式を待つことなくお亡くなりになりましたが、そのご遺志により、更に資金と不動産を御遺贈頂き、財団活動の基礎を固めることができ、今日の活動の基盤が確立いたしました。
当財団の目的は、公益法人への移行後も変わることなく、井上学術賞、井上研究奨励賞、井上リサーチアウォード、国際交流事業など若手研究者の支援を続けるとともに、第3代理事長故久保亮五先生のご遺志とご家族のご寄付により始められた久保亮五記念事業を加え、故井上夫人と初代理事長茅 誠司先生の目指してこられた基礎科学の振興、そして若手研究者育成の努力を続けてまいります。
度重なる経済的困難、東日本大震災とそれに伴う原子力発電所事故、そして円高と人口減少など、わが国の経済はさまざまな課題を抱えております。自己資産の運用により事業を進めている当財団も低金利に悩まされておりますが、科学の研究者もさらなる困難に直面しております。このような時期にこそ基礎科学を目指す若手研究者を支える当財団の活動がますます重要となっていると考え、その支援に最大限の努力を重ねて行く所存です。引き続き皆様のご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2014年6月
公益財団法人
井上科学振興財団
理事長 堀田 凱樹

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